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小悪魔な女1

「あのメンバーにいいのいる?」

 麻衣は後ろから聞こえてきた声に驚いて、勢いよく携帯を二つに折った。彼女が振り返るとそこには友人の南条さやかが笑顔で立っている。

「まだわからないわ。会って間もないし…」

「そう? 健太郎さんなんかどうかしら? 麻衣によく話しかけてくるじゃない」

 さやかはトイレの鏡に顔を近づけると、化粧を直し始める。胸元の大きく開いた服からは大きくて形のよい胸の谷間が見える。スカートも短めだ。コンパでの勝負服といったところだろうか。スタイルのよいさやかだから着れる服。スタイルが良く、顔立ちも整っている彼女。これで上目遣いで手でも握られでもしたら、世の男はノックアウトだろう。

 麻衣はそんな彼女を横目で見ると、小さくため息をついた。

 自分よりも綺麗で男うけのするさやか。その彼女が自分に探りを入れてくる。今日のコンパで誰を気に入り、アプローチしていくのか…。いつもそう。親友の特権を利用して、麻衣の好きな人を聞き出し、男性を奪っていく。

 今回のコンパもそうなるだろう。麻衣が気になっている人をさやかに告げれば、言葉巧みにその男性を自分に興味をわくようにもっていく。

「そうかな? 確かに健太郎さんは話しやすい人だよね」

「なら、メアド 聞いちゃえば?」

 さやかの顔がキラリと光る。彼女の狙う獲物が決まったようだ。

「そうね」

 麻衣の手の中で携帯が震える。さっき送ったメールの返信がきたようだ。さやかは口紅を塗ると、鼻歌を歌いながら手早くポーチに口紅をしまい、トイレを出て行った。ドアが閉まるのを見届けた麻衣は、急いで携帯をあける。

『帰りが遅くなるなら、迎えに行くよ。飲んでる場所を教えて』

 麻衣はやわらかい表情になる。最近、彼女は恋心を抱いている男性からのメールだった。

 大河内芳史 27歳。麻衣のバイト先、大河内弁護士事務所の副所長。麻衣の雇い主でもある。厳しい人であるが、とても紳士的な男性だった。ただのバイトの麻衣なのに、いろいろと面倒をみてくれた。あまり裕福とはいえない、麻衣の家のことまで心配してくれる彼。好意は嬉しいが、なかなか彼に甘えられない麻衣だった。

 そんな彼からのメール。麻衣はすぐに返信をしたのだった。

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