魅惑な小悪魔18
「麻衣?」
ディスプレイに表示されていた名前に驚きの声を上げる。
同じ家にいる相手からの電話だ。
用事があるなら、直接部屋に来てくれればいいのに…。
(俺のせいか)
鳴りっぱなしの携帯を持ち、陽介は部屋を出て行った。
居間のソファに座って電話をかけている彼女と目が合うと、陽介は携帯を掲げる。
「用事は何?」
「うん…」
麻衣は携帯の呼び出しをやめると、下を向いて悲しげな顔をする。
(何かあったのか?)
陽介は床に胡坐をかくと、彼女の表情を伺った。
「今日、外食しない?」
「具合でも悪いのか?」
「違うけど…」
麻衣は落ち着きなく、手をいじり始める。
一体、どうしてしまったのか。
「じゃ、今夜は俺が作るよ」
陽介は立ち上がると、冷蔵庫の前に行く。扉を開けて、中を見ると食材がぎっしりと入っている。
(買い物をし忘れたから…って理由でもなさそうだな)
「陽介って、今、好きな人いるの?」
麻衣は暗い声で質問をしてきた。
(きちんと話さないと、な)
陽介は冷蔵庫の扉を閉めると、麻衣の隣に腰を下ろした。
「いるよ」
「え?」
彼女は顔を上げると、隣にいる陽介の顔を見る。
「突然、家に転がり込んできたヤツ」
にっこり笑うと、陽介は麻衣の肩を抱いた。
「ごめん、俺が悩ませたんだよな。恥ずかしくてさ、酔った勢いでしか、麻衣を抱けなかったことが。格好悪いだろ」
「酔った勢いでも嬉しかった。でもそれから急に冷たいから…後悔してるんだと思って」
「後悔してるよ。今度は酔ってないときに誘ってくれよ」
冗談交じりに笑みを浮かべる陽介。
しかし麻衣は、瞳を閉じると、陽介の胸に寄りかかった。
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